サンクスギビングの前後は、アメリカも日本もセールシーズンですね。
ゲノムテストまでBlack Friday Saleの対象になってて思わず笑ってしまいました。というか450ドル引きって、、、
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さて今回は、ヘルスケア×ビジネスという領域にいると耳に入ってくるだろう、MBA (Master of Business Administration)とMPH (Master of Public Health)とMHA (Master of Health Administration)という3種類のProfessional degreeについて取り上げます。
MBAは経営管理学修士、MPHは公衆衛生学修士、MHAは医療管理学修士という日本語になるのかな?MBAとMPHは日本にもあると思うのですが、MHAは比較的珍しいかもしれません。イギリスやヨーロッパでもあまり見たことはなく、アメリカ特有のものかもしれません。
私はこのうちアメリカでMBAをイギリスでMPHを取得(MBAは予定)しています。MHAはMBA受験の際に選択肢にいれたこともあるので、わかる範囲で。
〇どんなことを学べるか?
MBAは(当たり前ですが)ビジネス系科目で構成されます。基礎となるのは、会計・ファイナンス・マーケティング・ストラテジー・オペレーション・経済学・リーダーシップの7科目です。おそらくどのビジネススクールに行こうとも、程度の差はあれ、これらの科目をまんべんなく学ぶことになると思います。
MPHは、プロフェッショナルディグリーといいつつ、より研究系に近いと思います。主に疫学・生物統計・医療経済学/政策学・ヘルスサービスリサーチ・環境保健・行動科学/ヘルスプロモーションなどを学びます。
MHAは、このMBAとMPHの中間にあるコースという理解です。例えばワシントン大学のプログラムを見るとわかりやすいのですが、ファイナンスや会計という科目もありつつ、MPHで見るような疫学・生物統計や医療政策などの科目もあります。
〇それぞれどんな目的の人が行くと良いか?
①製薬・医療機器・デジタルヘルスのビジネスに興味がある場合
→MBAが最も適していると思います。MHAも悪くはないのですが、後述するようにMHAは病院経営に比較的特化しているので、すこし違うかもしれません。MBAの中でもヘルスケアに特化したコースがあるプログラムを選ばれると、このあたりに興味がある人には満足度が高くなると思います。有名どころはこのあたりを参考に。
https://www.noodle.com/articles/top-healthcare-mba-programs
私もこの中の1校に通っていますが、ヘルスケアをやりたくてこのスクールに来たんだ、、、というと大抵の人が納得します(というくらい、ヘルスケアに強いプログラムであることが企業側や学生間で認知されています)。
MPHからこれらの企業に就職するケースもあるはありますが、主には統計や安全性などの専門職として就職しており、経営企画やマーケティング等のビジネス系職種という意味ではあまり適していないと思います。
②病院ビジネスに興味がある場合
→MHAが最も適していると思います。というか基本的にはそのためにつくられているコースです笑。有名なワシントン大学やコーネル大学のプログラムを見ても多くは病院が病院向けのサービス企業(コンサルティング等)に就職しています。
MBAでもよいんではないの、、、と思われるかもしれませんが、MBAの方がもっと利益追求に重きを置いていると思います。公共性の高い病院経営という事業においては、利益追求だけでなく、より多角的な判断軸が求められると思いますが、そのあたりの学びがMBAだと薄れる気がします(カリキュラム的にも一緒に学ぶ学生という意味でも)。
MHAの先駆者ともいうべき河野さんがポストされているこの記事もMHAとMBAの違いとして分かりやすいかもしれません。
③医療にかかわるシンクタンクやリサーチ職(PhD含む)につきたい場合
これはMPH一択です。MBAはまったくもって研究とは程遠いので、シンクタンクやリサーチ職につきたい場合は、MPHに行かれるのをお勧めします。医学研究における基礎となる疫学・生物統計や質的研究のメソッドをほぼ間違いなく叩き込まれます。+αで医療政策のコースをとれば、必ず満足できると思います。注意するとすれば、もし国際保健に興味がある場合は、その専攻があるMPHに行かれるとよいと思います。アメリカだとJohns HopkinsとかEmoryとかTulaneとかですかね。普通のMPHだと扱うケースが先進国だけ(アメリカのMPHならアメリカ)のことが多いです。
〇まとめ
MBA、MPH、MHAとどれもヘルスケアに関連する修士号ですが、それぞれ学べる内容やアカデミックな度合いが異なるので、ぜひキャリアの目標と合わせてご検討されることをお勧めします。