新年から早速アメリカがやらかしてくれました。トランプという存在だけでも日本からは過激に見えるのに、合衆国議事堂(通称Capitol Hill)の占拠事件、というこれまたすごい事件が起こったのは周知の話です。
新聞や購読しているニュースレターでもこの衝撃を様々に表現していました。
"A Single Day Shakes Two Presidencies, Two Parties and One Nation to the Core"
Morning Brew
"Yesterday, what had typically been a routine process in presidential transitions descended into one of the darkest days for American democracy."
The Skim
"The United States has been attacked"
実は昨年末に1つのアメリカ史の本を読み終えたところでした。
イエール大学の教授が書いたアメリカ史の本でコロンブスの新大陸発見から冷戦終結までの流れを主に描いている。読みやすさ、みたいな話はアマゾンのレビューにでも譲るとして、今のアメリカを見つつ印象として残ったのは、アメリカは常に分断されていたということ。
例えば最初の植民地時代は、イギリス系植民地とフランス系植民地、スペイン系植民地などの争い。
独立戦争後は民主共和党と連邦党の政争(1800年の大統領選等)。
黒人だけでなく女性の市民権についても争った公民権運動。
常に何かしらの問題と国内でのあらゆる政治的分断を抱えつつ走ってきたのがアメリカのように見えた。そしてトランプ政権がつまびらかにしてきたアメリカ内の青と赤の分断と今回の事件も、新しい1ページを刻んでいるだけのようにも見えた。
しかし重要なのは、上記のような分断を常に抱えていた国だからこそ、民主主義の先端を担うような仕組みも生み出してきたのではないかということ。
例えば本書には、こう書かれている。
"1800年の占拠で、重要なことを学んだ。(中略)。「多数から成るひとつ=E pluribus unum」という標語が意味するのは、誰もが同じように考える必要もなければ、同じ信念を持つ必要もないということだ。"
これは、合衆国という州の自治権がとても強いアメリカを象徴する言葉であるし、メルティングポットとよばれるような今のアメリカを形作った言葉でもあると思う。
もちろん言うまでもなく、南北戦争後は奴隷制度撤廃、公民権運動後は人種差別の解決と男女不平等の解消に、世界に先駆けて努めてきている(それでもまだ途上ではあるだろうけども)。
であるとすると、今回の事件も今ある問題を解決する一つの原動力となるのかもしれない。トランプ政権に端を発するこの問題は複合的で、以前の分断よりも難しくなっているが、例えばポピュリスト的な政治を改善する仕組みや、資本主義下での不平等の過剰な拡大の解決、といったようなアウトカムかもしれない。どういった結末にせよ、そういったポジティブな結果に導くような力もある国がアメリカなんじゃないかと感じさせる本でした。
またMBA生活の中でも、同級生のアメリカ人が見せてくれる、良くも悪くもポジティブに楽観的にディスカッションを白熱させる力は、それを裏付けてくれているような気もしています。