アメリカのヘルスケアを理解する上で知るべき機関5つ

仰々しい題名になってしまいましたが、とにかくアメリカの医療行政を理解したい、、、!という思いで調べ始めたものの、未だに消化不良気味です。

まあでもとりあえずわかる範囲で書いちゃえっということでリストしていきます。

最近ニュースにも出てくると思うので、それを難なく理解できるようになるのでは、、、。

 

①OSTP (Office of Science and Technology Policy)

科学政策に関するホワイトハウス内のポジションで、バイデン政権から閣僚級になったようです。医療政策とは直接的には関係しないものの、この部局の動きが一定程度医療政策に影響を与えるようです。

www.fiercebiotech.com

 

またPCAST(President’s Council of Advisors on Science and Technology)と呼ばれる

アドバイザリーカウンシルもあり、様々なレポートを通して間接的に影響を与えているようです。

www.fiercehealthcare.com

 

 

②HHS(Department of Health and Human Services)

いわゆる保健省。これから下の機関は全部このHHSの管轄下にあります。

www.hhs.gov

 

FDA(Food & Drug Administration)

医薬・医療機器製品等の承認機関。日本でいうPMDA。

Foodとはいっているように食品の安全性も見ています。

医療業界的にはこの中のCDER (Center for Drug Evaluation & Research、ちなみにバイオロジックスは別に組織あり)やCDRH (Center for Devices & Radiological Health)が実質的な主なカウンターパートになります。

 

昨年CDRHにはデジタルヘルス専門の部局が立ち上がりました。関連製品の専門性を高めて、承認審査のフレームワークづくり等を進めていくのだと思われます。

www.fda.gov

 

なお新長官(代行的な立場ですが)は元CDERの長で、比較的新製品に積極的な立場だったようです。

www.fiercepharma.com

 

④CDC(Center for Disease Control & Prevention)

公衆衛生に関する機関。研究だけでなく政府の指針となるアドバイスの提供を行っています。コロナでいうと、マスク着用義務化や1週間という隔離期間などについて、エビデンスの分析・提供に基づいて指針を出しています。

 

CMS(Center for Medicare & Medicaid Services)

メディケア・メディケイドの統括機関で、日本でいうと要は国保のような機関。しかし日本の国保より力が強い。その理由の一つは、彼らがReimbursementやService fee(いわゆる薬価や材料価格・DPCにあたるDRG)に関わる決定権を持つのが理由です。

正確には各州ごとに下部組織があったりするようですが(州の資金がメインのメディケイドは特に)、強い価格交渉権を持ちます。そして民間保険者もここの交渉を注視しており、CMSでカバーされないものは大抵の場合、民間でもカバーされにくいことが多いようです。

whatishealth.hatenablog.com

 

 

本当は、ホワイトハウス系の機関とHHS周りの機関の力学とかを調べてみたかったのですけど、力尽きたのでこの辺で今回は終了。。。

アメリカのヘルスケアに興味がある人にお勧めしたいオンラインニュースサイト4選

日本だとミクスとか薬事日報とかメジャーだと思うのですが(あと医療機器だと日刊工業新聞のニューススイッチとか?)、アメリカでよく読まれてるオンライン業界ニュースレターをご紹介。

 

①Fierceシリーズ(無料)

www.fiercepharma.com

PharmaだけでなくMedtechやCROのバージョンもあります。個人的に一番好きなのはMarketingです。製薬や医療機器のマーケティング関連のニュースをまとめてくれていて、面白いアプローチを知るのに重宝しています。

 

②CB Insights(無料)

www.cbinsights.com

スタートアップ系のデータベースも持つCB Insightsは毎日スタートアップ・VC関連のニュースレターを送ってくれます。テック系が多く、ヘルステックに興味がある人にはとてもお勧めです。間違ってなければニュースレターは無料だと思います。

 

〇〇50とか○○100といったスタートアップ業界レポートも有名ですね。似たような図を見たことがある人も多いと思います。

www.cbinsights.com

 

③Stat(有料)

www.statnews.com

製薬業界に関心がある人向けの有料ニュース。時々のニュースだけでなく、専門家の意見等を手堅くまとめているという印象です。購読はしていませんが、よくビジネススクールの授業でも参考文献として使われています。

 

④Rock Health(無料)

rockhealth.com

Rock Health自体はデジタルヘルス専門のVCですが、CB Insights同様にデジタルヘルス関連のレポートやニュースレターを配信しています。この二つを見ていればデジタルヘルスに関する基本的な情報はほとんど手に入ると思います。

 

 

ということで代表的なものをまとめてみましたが、もし他によいサイトがあればぜひ教えてください。

アメリカという摩訶不思議な国の歴史

新年から早速アメリカがやらかしてくれました。トランプという存在だけでも日本からは過激に見えるのに、合衆国議事堂(通称Capitol Hill)の占拠事件、というこれまたすごい事件が起こったのは周知の話です。

 

新聞や購読しているニュースレターでもこの衝撃を様々に表現していました。

 

Wall Street Journal

"A Single Day Shakes Two Presidencies, Two Parties and One Nation to the Core"

 

Morning Brew

"Yesterday, what had typically been a routine process in presidential transitions descended into one of the darkest days for American democracy."

 

The Skim

"The United States has been attacked"

 

実は昨年末に1つのアメリカ史の本を読み終えたところでした。

www.subarusya.jp

 

イエール大学の教授が書いたアメリカ史の本でコロンブスの新大陸発見から冷戦終結までの流れを主に描いている。読みやすさ、みたいな話はアマゾンのレビューにでも譲るとして、今のアメリカを見つつ印象として残ったのは、アメリカは常に分断されていたということ。

 

例えば最初の植民地時代は、イギリス系植民地とフランス系植民地、スペイン系植民地などの争い。

独立戦争後は民主共和党と連邦党の政争(1800年の大統領選等)。

そして奴隷制度に端をはっした南北戦争

黒人だけでなく女性の市民権についても争った公民権運動。

 

常に何かしらの問題と国内でのあらゆる政治的分断を抱えつつ走ってきたのがアメリカのように見えた。そしてトランプ政権がつまびらかにしてきたアメリカ内の青と赤の分断と今回の事件も、新しい1ページを刻んでいるだけのようにも見えた。

しかし重要なのは、上記のような分断を常に抱えていた国だからこそ、民主主義の先端を担うような仕組みも生み出してきたのではないかということ。

 

例えば本書には、こう書かれている。

"1800年の占拠で、重要なことを学んだ。(中略)。「多数から成るひとつ=E pluribus unum」という標語が意味するのは、誰もが同じように考える必要もなければ、同じ信念を持つ必要もないということだ。"

これは、合衆国という州の自治権がとても強いアメリカを象徴する言葉であるし、メルティングポットとよばれるような今のアメリカを形作った言葉でもあると思う。

 

もちろん言うまでもなく、南北戦争後は奴隷制度撤廃、公民権運動後は人種差別の解決と男女不平等の解消に、世界に先駆けて努めてきている(それでもまだ途上ではあるだろうけども)。

 

であるとすると、今回の事件も今ある問題を解決する一つの原動力となるのかもしれない。トランプ政権に端を発するこの問題は複合的で、以前の分断よりも難しくなっているが、例えばポピュリスト的な政治を改善する仕組みや、資本主義下での不平等の過剰な拡大の解決、といったようなアウトカムかもしれない。どういった結末にせよ、そういったポジティブな結果に導くような力もある国がアメリカなんじゃないかと感じさせる本でした。

 

またMBA生活の中でも、同級生のアメリカ人が見せてくれる、良くも悪くもポジティブに楽観的にディスカッションを白熱させる力は、それを裏付けてくれているような気もしています。

 

 

バイリンガル教育は1日にしてならず

さっそく、新年一冊目の本として、

「言葉と教育 海外で子どもを育てている保護者のみなさまへ」を読了しました。

思った以上に海外での子供の教育に示唆のある本だと思ったので、メモ。

 

www.amazon.co.jp

 

筆者はトロントの日本人補習校で校長を務めており、またトロント大学でも研究を行っていた方。理論的な説明が平易な言葉でされているのもよいし、日本人補習校でのデータや事例も詰め込まれており、説得力がとてもあった。初版は1998年で中身は変わってないので、少し古いデータともいえるが、汎用性は高く今でも使えそう。何よりこの価格でこの内容はコスパ高い!

 

〇参考になった点

バイリンガルの場合でも母語教育が重要になるという事。2言語が並行的に育っていくというより、片方がまず強くなり、その後もう1言語が強くなるという課程をたどる

・2つの閾値論:

1つ目→まず最低限の論理的な読解力・スピーキング力が片方の言語で超える状態

2つ目→両方の言語で上記の能力が達成される段階

・発達論と言語教育

子どもの発達過程を年齢・周囲環境から6つにステージに切り分けたとき、それぞれで異なる介入が必要ということ。特に両親が日本人の場合には、5-6歳までは日本語メイン、7歳から12歳までは英語の影響が強くなってくるので、家の外は英語、家の中は日本語と区切りをつける。12歳以降は、それまでと同様だが、おそらく主言語をのばしつつもう1言語を継続して習えるような環境づくりをする

・長期的な視座で教育すること

やはり1言語で教育されている子供とくらべて、バイリンガルの場合、高校生ぐらいになるまで、両方の言語もしくは片方の言語は平均値かそれ以下になる傾向にあるようです。その結果をいちいち気にするより、継続的に母語と触れ合える環境をつくること、楽しく現地校に通える環境をつくること、が大切。親の役割は母語の教師でも英語の教師でもなく、一緒に学ぶパートナーであり環境を用意してあげること。

 

〇こういう点もあるとよかった・・・という点

・両親のタイプによっても教育の方法は多少違うのかなと。両親が日本人の場合と片親だけの場合でできることも変わってくるので、その辺りまで踏み込んでいてくれているとよかった。明言はされていないが、この本では両親が日本人のケースだと思われる(自分の場合はそれでもいいのだけれど)。

・同様に、海外在住の目的別の示唆もあってもよかったかもしれない(少し触れられているが)。数年程度の駐在家族、長期滞在予定の家族では、そもそものゴール自体が異なるため、教育方針も変わってくるのかなとも感じた。

・本書とは関係ないが、海外在住の子女を対象とした同様の研究は継続してやっていてよいのではないかと思った。せっかく「海外子女教育振興財団」が発行しているのだから最新のデータをもとに本書もアップデートしているのが理想なのでは。

 

 

製薬企業における1薬剤あたりのR&Dコストは100億円以上

だいぶ前にこんな記事をかいたのですが、ワクチンも治療法もプレクリニカルから含めると数百あります。

whatishealth.hatenablog.com

このうち目が出るのはおそらく数個~数十個しかないと考えられます。

例えばロシュのアクテムラは7月にはPIIIでエンドポイントを達成することができませんでした。もちろんこれだけで、有効でないということにはなりませんが、この臨床試験で有効性を示せないというリスクが製薬・医療機器には常にまとわりつきます。

www.pharmaceutical-business-review.com

 

研究開発に必要なコストの大きさとこの不確実性の高さは高薬価の理由にも挙げられています。失敗する薬剤も多いので、製品化された薬剤にはこれらの失敗したプロジェクトのコストも掛かってきます。また製薬の研究開発は10数年近くかかるのも多いので、割引率的な考え方も重要になってくるとは思います。

 

臨床試験の成功率

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

DiMasi et al. (2016)では1995年から2007年までのNME(New Molecular Entity)の臨床試験について、タフツ大学が持つデータベースをもとに成功率を推計しています。そのデータベースは商用のものとPublic Information(ClinicalTrial.gov)を参照しているようです。

 

その結果によると、PIではおよそ60%、PIIでは約35%、PIIIでは約60%、申請時には約90%という推定値を出しています。ということは、PI~申請までで約10%、プレクリフェーズも考えると、成功率は数%以下となります。

 

〇1薬剤にかかるR&Dコスト

同じ研究によるとR&Dコストは、約2.5~3billion USD (2013 USD)ということで、日本円にして1薬剤あたり2500億円から3000億円あたりと推定しています(10.5%の割引率を使用しており、割引率を使わないと1.4billion USD)。

 

より最近の研究もあります。

jamanetwork.com

こちらは2009年から2018年のデータを使っており、おそらく割引率の考えを適用していませんが、中央値で約1billion USD、平均で1.3billion USDとほぼ同じ結果が出ています。この研究は大まかな疾患領域ごとの推定も行っており、ご興味ある方はぜひリンクからアクセスしてみてください。悪性腫瘍が著しく高くなっていますが、業界の肌感覚とあっているかは興味があるところ。モニタリングよりも患者のリクルーティングが大変なんでしょうか?

 

 

〇企業ごとのR&Dコストの差

www.forbes.com

とはいっても企業別にみると、R&Dコストには大きな差があります。大企業だからEconomy of scaleが効くはずですが、失敗するリスクは大企業だからといって小さくなるわけではないのでしょう。またスタートアップではパートナーシップを結んだりライセンスアウトすることで低コストに抑えている側面もあるかもしれません。

 

製薬の中には、研究(Rの部分)や開発(Dの部分)、製造(Mの部分)をアウトソーシングする会社が多いですが、このR&Dの高コスト構造があるのだと思います。

CDMO事業の広がりはCMICの方が解説しているこの記事がわかりやすいですね。電子機器と同じことが起こっているわけです。

project.nikkeibp.co.jp

 

ということで2021年一発目は、製薬のR&Dに関するメモでした。

 

アニュアルレポート@2020

 

いつのまにか2020年も残り2日ということで、MBA生活もあと半年です。早いなー。

せっかくなので1年を、企業のようにアニュアルレポート風に振り返ってみたいと思います。

 

コロナの影響

当たり前ですが、コロナに翻弄された1年でした。サマーインターンも含めてフルリモートになった一方で、家族との時間はとりやすく、普段は忙しくて行けなかった公園やTrailに家族で行くことができたのは、不幸中の幸いかと。

しかしその甲斐もむなしく体重が指数関数的に増加。1年で7kg増えるという未曽有の事態に。今まで難なくはけていたズボン(特にジーンズ)がはけなくなるリスクが出てきており、2021年は生活習慣・体質改善が課題です。

 

ヘルスケア業界の中でのピボット

インターンは製薬・医療機器・保険と数社に応募しまところ、医療機器にご縁があり、夏はアライアンスマネジメントとマーケティングエクセレンスに関わりました。やはり製品自体の特長の違い(ケミカル vs エンジニアリング)から起こるプロダクトライフサイクルの違いや、市場で成功する上でのMktとR&Dの重みの違い、パートナーシップの在り方の多様性など、新しい学びがありました。

ありがたいことにインターン先からフルタイムオファーをいただき、来年の夏は医療機器業界に身を投じます。初の海外就業になるので、いつクビにならないかどきどきですが、USの競争社会で揉まれる経験を楽しもうと思います。

 

キャリアプラン 

①大企業vsスタートアップという軸

前職はコンサルティングだったので実感がなかったのですが、サマーインターンは大企業、その後は大学発のスタートアップのサポートをしたという経験を比べたとき、裁量・自由度の大きさとスピード感という観点から、大きな差がありました。ある領域でトラックレコード・経験をつくりたいという理由から、フルタイムは大企業に就職することにしましたが、一定実績をつくれたら、スタートアップのマネジメントロールに行くのも面白いのかな、とも考えています。

 

 ②専門性vsジェネラルマネジメントという軸

MBAというとジェネラルマネジメントを目指して、、、というイメージが強い中、どちらかというと専門色の強い領域に行くことにしました。主な理由としては、言語的なハンデのあるアメリカで生き抜くためには、MBAとMPHで学んできたことを活かせる領域でトラックレコードをまずは積もうと考えたからです。

とはいえ、将来的にはマネジメントロールは目指したいので、ファイナンススキルを強化すべく、MBAの副専攻をファイナンス分析に変えることにしました。マーケティング・市場開発を主戦場にしつつ、ファイナンスもわかる人間になれたらと思います。

 

家族の生活

 最低でも数年はアメリカで住むことになります。MBAも含めてこの決断をサポートしてくれた妻・義父母・両親と、わからないながらも生活に彩りを与えてくれている息子には感謝です。

せっかくアメリカにいるので、息子にはバイリンガルになってほしいですが、米国で何年も過ごしていた人の話を聞くとそう簡単でもないようで、親としてどうベストの教育を与えてあげられるかがこれからの課題です。ちょっと早いけど、老後も考えつつ貯蓄のことも考えないと、、、

 

ということで多くの変化があった激動の1年でしたが、来年も新天地への引っ越しにフルタイムワークの開始と激動の1年となりそうで、ブログネタには事欠かなそうです。

 

よく見たら、MBA留学前はこんなことを考えていたみたい。

whatishealth.hatenablog.com

ここに書いてあるプランとは違いますが、まあ近しいところに落ち着いたのでは。

 

 

アメリカに聞いて気が付いたよく使われている英単語②

お気楽なメモシリーズ第2弾。
先週過ごしてて気が付いた単語・熟語たち。
 
①Be up in the air=ちゅうぶらりん、未定
The idea is up in the air.
 
②Slash=(大きく)減らす、切り裂く
The production was slashed by 50%.
 
③Tipping point=重大な分岐点(No point of return的な)
The crisis reached a tipping point
 
④Take XXX with a grain of salt=割り引いて考える。
As I am not an expert, please take my words with a grain of salt.
 
⑤take a raincheck=後でもいい?
I can't go today, but can I take a rain check?
 
⑥Flip side=裏面、on the flip sideで他方でとか逆に言えば、、、とか
 X is Y, but on the flip side, X is W.
 
オワリ―