アメリカでの医療機器の保険償還ー②基本コンセプト~Coding・Coverage・Payment~

アメリカでの医療機器の保険償還はとても複雑。1つには前の記事でも紹介した通り、Payerがいくつもあることからくる複雑さもあるけれど、もう1つには償還のシステム自体が複雑なプロセスになっているという点があります。

 

この記事ではそのシステム・プロセス面を主に紹介。特に基本となるコンセプトのCoding・Coverage・Paymentが中心。

 

〇Coding・Coverage・Paymentの意味

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Coding

医療機器の償還に使われる際に使用されるコードの事。入院治療・外来治療や医師が請求に使うものと施設(病院)が請求に使うものと、様々なコードがあるため、どのコードでの請求対象になるかを理解するのがとても重要。細かいコードの話は別途。

 

自社の製品にあてはまるコードがない場合、関連する学会と連携してAMA(American Medical Association)に新規コードの申請をしなくてはいけない。。。がとても時間のかかるプロセスで大変(数年以上かかる)。なのでCoding 戦略はとても重要だったりする。

 

Coverage

広義には償還対象となっているか否か、ということ。基本的には臨床エビデンスの有無に基づいて、償還をすることが"Reasonably Necessary"なのかで判断されます。

アメリカの場合、Medicareのような公的保険者とUnited Healthのような民間保険者で決定が異なることが多々ある。Medicareでは、National Coverage Determination(NCD)やLocal Coverage Determination(LCD)というよう形式でこのCoverageについて規定されてる。このNCDやLCDの細かい話は別途。

 

Payment

償還されるときの支払額。保険者ごとに異なるが、民間保険はメディケアの120-150%あたりだとか。メディケアの支払額はなんだかんだでベンチマークとなる。このPaymentはCodingに紐付くので、もし支払額に懸念がある場合は新しいCodingを申請することとなり、数年がかりのプロセスにつきすすむことになります。

 

〇なぜこの3つに分解するのか?

それぞれのプロセスが比較的独立していることが、その理由。個人的にはCodingとPaymentはより従属性が強いとは感じる。

 

日本と比べると、Coverageが一番ユニークにな。例えば日本では、適応対象は薬事承認された内容がそのまま適応対象になるので、考える必要はほとんどない、、、というかGivenなものになるが、アメリカでは各保険者がさらに独自に決めることが可能。というわけで変数が一つ多い。

 

Codingも日本だと基本的には保険戦略といえば、特定保険医療材料の話になってしまうが、アメリカだと日本でいう技術料で保険償還されるものが多く、Hospiral Economicsを考える要素がとても大きいという印象。

 

というわけで下に日本とアメリカでの保険償還の考え方の違いをハイレベルでまとめてみた。次はコーディングの細かい話をまとめる予定。