ヘルスケア

アメリカで転職をする話①ーなぜ転職活動を始めたか

この4月をもって今まで働いていた会社を去り、新しい会社にジョインすることになった。ここ2週間ほどは会社/上司への通知・引継ぎやあいさつ回りなど思った以上にいそがしかったのだが、自分の備忘録も兼ねて今回の流れを記録しておきたい。 振り返ると次の…

複雑怪奇なアメリカのCoding(保険請求コード)とPayment

この記事でも紹介したように、アメリカで医療機器の保険償還を狙うなら避けられないのがこのCodingとPaymentというコンセプト。 whatishealth.hatenablog.com 日本は比較的単純で特定保険医療材料(特材)という機器単体で保険償還されるものと(ペースメー…

マーケットアクセスの観点からのRWE(リアルワールドエビデンス)

RWE(リアルワールドエビデンス)は一時期とても流行って、いまはハイプサイクルでいう谷、、、とまではいかないまでも以前と比べると下火になってきている気がします。特にマーケットアクセス・保険償還という観点でいうと、日本ではHTAの試行前後で特に騒…

アメリカでの医療機器の保険償還ー②基本コンセプト~Coding・Coverage・Payment~

アメリカでの医療機器の保険償還はとても複雑。1つには前の記事でも紹介した通り、Payerがいくつもあることからくる複雑さもあるけれど、もう1つには償還のシステム自体が複雑なプロセスになっているという点があります。 この記事ではそのシステム・プロセ…

認知症薬のアメリカにおける保険適応の実際ーCMSのプレスリリースとCoverage With Evidence Development

先週についにFDAの正式承認を受けたエーザイ・バイオジェンの認知症薬。色々な記事でこの正式承認によって、広く保険適応がされるとされている。 toyokeizai.net jp.reuters.com この発表の後、たまたまCMSのホームページを別件で見ていたら、ちょうどプレス…

DTx/Digital therapeuticsの先駆けだったPear Therapeuticsが破産した話

自分の会社のレイオフがアナウンスされてから数週間経ちました。今のところ上司との1on1が設定される気配もないので、くぐり抜けられたのではないかと一安心しています、、、が多くの人が辞めていくのは辛いところ。特定の業界・ファンクションで、簡単には…

ふきあれるレイオフ In 医療機器・製薬@アメリカ

ニュースではアマゾンやらグーグルやらのテック系企業のレイオフが注目されているかと思いますが、私の働く医療機器や製薬でも決して他人ごとではありません。 こんなトラッカーが登場するくらい、事業の停止・譲渡やレイオフが行われています。さすがアメリ…

アメリカでインスリンの価格が下がったことは、製薬会社にとって必ずしもマイナスではないという話

この数週間でついにイーライリリーに続き、ノボノルディスクやサノフィといったインスリン(ブランド薬)メーカーが続々とインスリン価格を下げるという発表をしました。 jp.reuters.com jp.reuters.com jp.reuters.com この話、一見すると市場競争という名…

CMSのアデュヘルムに対する償還決定内容の意味するところ

4月の頭、CMSがアデュヘルムに対する償還の方針(正しく言うとNational Coverage Determination=全米レベルで償還対象とするか否かの決定)を決めました。 www.cms.gov アデュヘルムというのはバイオジェン・エーザイが開発したかのアルツハイマー薬です。F…

アメリカでの医療機器の保険償還ー①日本vsアメリカのハイレベル比較

日々の仕事の中で気が付いたことのメモです。 日本とアメリカの比較という観点からつらつらと書いていきたいと思います。 ①保険者の数:Single Payer(日本) VS Multiple Payer(アメリカ) まずは言わずもがなのPayerの数。アメリカは民間保険・公的保険あ…

ヘルスケア関連のニュースピックアップ⑤ーメディケアでのデジタルセラピューティクス(DTx)のカバレッジを行う根拠となる法律が成立

つい1週間ほど前にAccess To Prescription Digital Therapeutics Actが超党派の議員による活動を経て成立しました。 www.capito.senate.gov ここでいうDigital Therapeuticsとは①FDAによって認可されており、②予防や治療・予後管理目的であり、③ソフトウェア…

ヘルスケア関連のニュースピックアップ④(フィリップモリス社の医療機器CDMO買収に対する倫理的批判 from DeviceTalks Weekly)

アメリカのMedtech関連Pod castでおすすめしたのがDeviceTalks (Weekly)。 www.devicetalks.com Tom SalemiというイケボのおじさんとChris Newmarkerというハイテンション気味なおっちゃんが繰り広げるMedtech業界にフォーカスしたポッドキャストです 。 お…

アメリカでの薬のマーケットアクセス戦略:フォーミュラリーと市場の競争度の相関分析

さてさて無事仕事が始まり、さすがに大学院にいた時よりは忙しい生活になってきました。特に初めての転職という事もあり、いろいろ緊張していますが何とか最初の1か月を無事に終え、いろいろと学びがありました。またどこかでリフレクションしたいと思います…

PBM(Pharmacy Benefit Manager)の役割・フォーミュラリーについて@アメリカ

アメリカの独特のヘルスケアプレーヤーとしてPBM(Pharmacy Benefit Manager)という組織・業界があります。 この記事でも少し紹介した通り、AmazonがPharmacy事業を超えて狙っているのではないかとも噂される業界です。 この辺りのプレーヤー間のつながりが…

ヘルスケア関連のニュースピックアップ④(ビデオゲームがADHDの治療に?・製薬会社がスマートファクトリー・敗血症予測モデルの精度に疑義がでてしまった話)

今日はこの3つのニュース について。 ①ビデオゲームによるADHD治療 www.fiercepharma.com ゲームによるADHDの治療にFDAの認可が下りました(8-12歳の子供向けのようです)。つくった会社はAkili。 www.akiliinteractive.com プロダクトページはこちら。 www…

ヘルスケア関連のニュースピックアップ③(抗体医薬の薬価問題@アメリカ・ESGに費用対効果評価が含まれる?・テレヘルス使用率@アメリカ)

少し古いけどクリップしていた記事からいくつかメモ。 www.fiercepharma.com アッヴィのヒュミラといえば抗体医薬の先駆けでもあり、めちゃくちゃ売れている医薬品の代名詞ですね。毎年200億ドル以上を稼ぎ出すブロックバスター中のブロックバスターです。 2…

アルツハイマー薬騒動のまとめ@アメリカ

アメリカ横断引っ越しの続きを書く予定でしたが、アルツハイマー薬のAduhelm (Aducanumab)の話題が業界内外問わずヒートアップしているので、あくまで現時点でのまとめメモ。 アメリカでは今次の2点が問題としてニュースとなっています。 ①FDAの認可は正しい…

アメリカでコロナワクチンを受けた話ーなぜこんなにも早くワクチン接種を進められたか。

日本でも少しずつ話題が増えてきていますが、あらためて個人としてアメリカでコロナのワクチンを受けた経験を振り得ってみます。ちなみ南東部州での話です。 〇3月半ばに1回目・4月頭に2回目を接種 接種を受けられる優先グループは決まっており、医療従事者…

デジタルヘルスでの協業

こんないいインフォグラフィックつき記事をみつけました。 answers.ten-navi.com ここではいったん「DTx・治療支援」と「研究開発支援」にわけているけど、個人的には「研究開発支援」・「治療支援」・「DTx」と分けるほうが良い気はする。というのも、 ①「…

記事紹介:生活習慣改善に個別化(Personalized)されたメッセージは逆効果??

偶然ですがHBRでこんな記事をみつけたのでメモ。 hbr.org どうやらNYUとCMUと中国の大学の研究者が共同で行ったランダム比較試験の紹介のようです。おそらく元のペーパーはこれ。 https://arxiv.org/ftp/arxiv/papers/2102/2102.05506.pdf サマリーによると…

ヘルスケア関連のニュースピックアップ②(デジタルMR・保険会社によるスイッチ戦略・R&D予算Top10 in 2020)

ヘルスケアニュース第2弾。 の前に、アルケゴスキャピタルの話、野村とクレディットスイスの話がフォーカスされてるけど、ゴールドマンサックスとモルガンスタンレーが、うまくこの影響を逃れているのは日本で報道されてないですね。リスクマネジメント戦略…

アメリカのライフサイエンスクラスター(地理的な集積地)

アメリカに来て驚いたのは、もちろんカリフォルニアやボストンのような有名なクラスター以外にも様々な都市でクラスターが形成されているところです。 東京一極集中の日本と違って大企業のHQも各都市に分散されており、技術シード・人材を生み出すアカデミア…

エビデンスってなんだ(過大評価されてません?)

このコロナの一連の騒ぎのせいで、疫学や感染症モデリングが注目されることもあり、公衆衛生学を学んでいた人間としては、人のためになることを学べてよかったと思う場面が増えています。 昔なんて、就活のエントリーフォームで大学院の専門を入力するとき、…

ヘルスケア関連のニュースピックアップ①

適当に気になった記事をピックアップ。気が向いたら、似たようなまとめを自分のメモがてら続けていけたら。 ※以下は私の解釈も入っていますので正確な内容は記事を参照してください。 とりあえず今回は昔の物から。 ①アストラゼネカとJunshiという中国のメー…

アメリカのヘルスケアを理解する上で知るべき機関5つ

仰々しい題名になってしまいましたが、とにかくアメリカの医療行政を理解したい、、、!という思いで調べ始めたものの、未だに消化不良気味です。 まあでもとりあえずわかる範囲で書いちゃえっということでリストしていきます。 最近ニュースにも出てくると…

アメリカのヘルスケアに興味がある人にお勧めしたいオンラインニュースサイト4選

日本だとミクスとか薬事日報とかメジャーだと思うのですが(あと医療機器だと日刊工業新聞のニューススイッチとか?)、アメリカでよく読まれてるオンライン業界ニュースレターをご紹介。 ①Fierceシリーズ(無料) www.fiercepharma.com PharmaだけでなくMed…

製薬企業における1薬剤あたりのR&Dコストは100億円以上

だいぶ前にこんな記事をかいたのですが、ワクチンも治療法もプレクリニカルから含めると数百あります。 whatishealth.hatenablog.com このうち目が出るのはおそらく数個~数十個しかないと考えられます。 例えばロシュのアクテムラは7月にはPIIIでエンドポイ…

MBA vs MPH vs MHA - ヘルスケアにおけるプロフェッショナルディグリー

サンクスギビングの前後は、アメリカも日本もセールシーズンですね。 ゲノムテストまでBlack Friday Saleの対象になってて思わず笑ってしまいました。というか450ドル引きって、、、 == さて今回は、ヘルスケア×ビジネスという領域にいると耳に入ってくる…

コロナワクチンの配分とAmazon Pharmacy

ふと振り返ってみたらいつの間にか11月も末。サンクスギビングも終わろうとしていた。サマーインターン終了後、予想以上の忙しさにブログの事をすっかり忘れてました。MBAの2年目は暇だといったのはどこの誰だ、、、=== 面白いデータがあったので、紹介。…

テレヘルスへの追い風:アメリカと日本の使用状況比較 

数週間前、ヘルスケアを専攻しているMBAの学生を騒がせたニュースがありました。それがこちら。 www.cnbc.com テレヘルスサービスのプロバイダーであるTeladocがリモートでの患者モニタリングサービスのプロバイダーであるLivongoを185億ドルで買収するとい…