非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)

個人的な興味から非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)についてメモ。

とっかかりはこの記事から。

answers.ten-navi.com

 

数年前はもちろんC型肝炎が一番ホットなトピックだったのですが、当時からウィルス性肝炎が終わったらNASHの時代だよ、、、と耳にしていて気になっていた疾患でした。

 

〇NASHとは

いわゆる脂肪肝の状態ですが、アルコールをあまり飲まない人に発症するものをNAFLDあるいはNASHと呼びます。NAFLDはNASH予備軍です(ただしNASHにならず単純性脂肪肝という良性の経過をたどる人もいる)。

NASH infographic

引用元:

liverfoundation.org

 

〇疫学

www.jstage.jst.go.jp

この論文によると地域差・研究によるばらつきはあるものの、非飲酒者の約25%がNAFLDの可能性があるとされている。

 

本来は細かく定義を突き合せなくてはいけないが、この調査(飲酒習慣の状況(性、年齢階級別)|厚生労働省)によると約80%が「飲酒習慣なし」とのことであるので、日本で考えると最大20%近くはNAFLDのリスク群と考えられる(実際はもう少し少なそうだが、、、)

 

〇治療薬の開発状況

まだターゲットとなる薬剤は開発されていないが、多くの会社が下記の記事にあるように開発中。メジャーな製薬会社だと、ギリアドやノバルティス。しかし最も有望なのはインターセプト社のOCAのようです(FDA申請中)。OCA自体はすでに原発性胆汁性胆管炎(肝硬変の原因疾患の一つ)に認可済みのものです。ただし効果は限定的との見方もあり(日本ではDSPがライセンスをインターセプト社に返還)、決定的な薬とはならなさそう。

www.fiercebiotech.com

answers.ten-navi.com

 

 

ウィルス性肝炎で激しい競争を繰り広げていたギリアド(ハーボニー等)は納得。BMSもパイプラインに持っているようです。はてアッヴィやMSDは何してるのかしらと思ったら、アッヴィはアラガン買収したことで、パイプラインを手に入れています。MSDはNGMという会社からライセンスインしてますね。

www.barrons.com

www.biopharma-reporter.com

 

しかしギリアドは2つの臨床試験が失敗したため、治療薬開発という意味では後退。しかしそのデータを利用して非侵襲的な診断法の開発を目指しているようです。また他社の薬とのコンビネーション治療も模索中とまだまだ開発に邁進中。

www.fiercebiotech.com

 

なお、薬ではありませんが、Digital Therapeuticsとして日本のCureAppがCBTベース(要は行動変容を促す)の治療アプリを開発中です。NASHは生活習慣病でもあるので、もし薬に頼らない治療ができればベストですね。

cureapp-en.blogspot.com