マーケットアクセスの観点からのRWE(リアルワールドエビデンス)

RWE(リアルワールドエビデンス)は一時期とても流行って、いまはハイプサイクルでいう谷、、、とまではいかないまでも以前と比べると下火になってきている気がします。特にマーケットアクセス・保険償還という観点でいうと、日本ではHTAの試行前後で特に騒がれていたという事もあるのかもしれません。

 

アメリカだとPRO(Patient Reported Outcome)をFDA承認でどう活用していくかというのが一つのキーになっているようです。ちゃんとは読めていないのですが、以下のようなガイダンスも最近出ました。

www.fda.gov

 

いわゆるマーケットアクセス部門に所属する身からすると、この辺りのアウトカムについてはR&Dやクリニカルに比べて一日の長がある、、、と思われるので将来製品のプランニング時にバリューを出せる点が増えたのだと思います。

 

一方でRWD(リアルワールドデータ)ではなくてRWE(リアルワールドエビデンス)という点でいうと、使えるデータのバラエティをいくつ抑えているかという点で、マーケットアクセス部門自体の存在感が変わっていくように思います。

 

2020年のマッキンゼーのレポートと2023年のPWCのレポートを比べても、3年間で活用事例としては大きくは変わってない印象(特にファンクションごとの活用事例の画像の話)。

www.mckinsey.com

www.pwc.com

 

マーケットアクセス部門が所有しているのって、いわゆるクレイム(保険請求)データと時たまレジストリーデータくらいでして、直にリアルワールドデータを取ろうとすると時間的な観点から個別製品というよりも治療法・Therapyレベルでの目的でないと最終的にはペイしない気がします(例えば、XXXというモダリティの薬や機器をFirst Lineにもってくるとか)。

 

保険請求データも、薬はまだしも機器となると、個別製品ごとに見れなかったりするものもあるので(特にアメリカのCPTやHCPCSは機器ごとに設定されないコードなので、日本でも技術料でカバーされるものは同じなのでは?)なかなか活用方法が限られています。

休みの間、すき間をぬって考えたのですが、だいたいこんなとこかな?

  • 疾患啓発・アドボカシー(メッセージの対象は政府や保険者。患者団体や学会とコラボして行えると吉)
    • 治療実態
    • 疾病負荷
  • 経済性の観点からの製品差別化(メッセージの対象は保険者・病院・HCP)
    • 入院イベントの減少(合併症や副作用などなど)
    • 適正使用・アドヒアランス・継続治療期間の向上
  • 保険償還上の制度
    • HTAの際の関連医療費の推定
    • Coverage with Evidence Development

必ずしもファンクションとして予算が潤沢でない中で、どこを攻めるのがスジがいいかを見極められるのが重要な資質になる気がする今日この頃。