少し古いけどクリップしていた記事からいくつかメモ。
アッヴィのヒュミラといえば抗体医薬の先駆けでもあり、めちゃくちゃ売れている医薬品の代名詞ですね。毎年200億ドル以上を稼ぎ出すブロックバスター中のブロックバスターです。
20年のグローバル製品売上 1位はヒュミラの290億ドル 6製品が100億ドル超 IQVIA | ニュース | ミクスOnline
この売り上げの60%近くはアメリカでの売り上げ(約160億ドルー元記事参照)です。であるがゆえに薬価というと矢面にだつのがこの薬になってしまうわけです(ギリアドのハーボニー・ソバルディもその仲間ではありますが)。
しかも大絶賛値上がり中。2003年(まだアボット時代)は522ドル/シリンジだったのに、今や2984ドル/シリンジです。
バイオシミラーは??と思われるかもしれませんが、アッヴィはバイオシミラーメーカーにパテント訴訟を起こしてうまく和解にもちこみ、今のところ2023年までバイオシミラーはローンチされません。これもLucrativeな現状に至っている一因でしょう。
Weighing The Potential Of Humira Biosimilars In The US — Competitive Dynamics Analysis
というわけで、キャピトルヒル(議会)から狙われ始めたアッヴィ。実効税率も10%前後になっていたことで(現状は21%が基準)、そこも追及されてます。
この議会の追及によって、アッヴィが行ったような知的財産訴訟によるバイオシミラーのローンチ遅延という作戦が、不適切とされてもし発売が早まるというところまでダどり着くor新たな規制ができれば、バイオシミラーの普及が進みそうです。ペイヤーはそれを(密かに)心待ちにしてるでしょうし、アッヴィ以外の抗体医薬メーカーは戦々恐々としているでしょう。
上の話と関連して、製薬業界のESG評価に費用対効果評価が含まれるかもしれないという話。アメリカでは以前も取り上げた、Institute of Cinical Excellence and Research(ICER)という独立機関(イギリスのNICEのNGO版です)
ESGというと環境問題中心に考えがちでしたが、ガバナンス・サステナビリティ観点でディスカッションが行われているようです。
Health Economicsに魅かれている自分としては賛成ですが、ICERという機関だけの評価でいいのかは疑問。この費用対効果という分野は数字は前提を少し変えるだけで簡単にぶれるので。またICER自体のガバナンス体制もしっかりしてないとですし、レビュープロセスもローンチ時の1回限りでなくリアルワールドデータに基づく継続的な評価を行うなどのアップデートが必要だと思います。
全体的にはバリューベースドヘルスケアにつながる流れではあるので嬉しいと思いつつ、なんとなくICERの勢力拡大の意図を感じるところもあり笑、ICERだけでなく複数の団体・研究機関によるEvidence Appraisalプロセスをつくっていけるとよいのでは、と思います。ここは英国のような国が主導する形とは異なるところですね。
アメリカでのテレヘルスのお話。テレヘルスの使用は、メディケア=高齢者向けの医療保険のユーザーの間でも使用が進んでいるが、2つほど課題があるという話。
①テレヘルスのサービスを近くの医療機関が提供しているかよくわからないという認知の問題
②コロナ禍で緩和されたテレヘルスのメディケアによるカバレッジがいつまで続くのかという償還に関する問題
①に関して言うと、民間の医療保険会社だとたいていポータルサイトがあってそこから、メジャーなサービスを提供している医療機関を検索できるのですが(+In networkかどうかを判断するためにも)、メディケアだとそういうのはないのかもしれませんし、あったとしてもそのサイト自体の認知や使用率も低いのかもしれません。いかんせん対象じゃないのでわかりませんが。
②については、CMSが中心となって今後見直しフェーズに入るようで、おそらくテレヘルス関連のヘルスサービスリサーチのペーパーが増えそうな予感。
製薬や医療機器からすると、慢性疾患領域を持つ会社が一番関係ありですが、それらテレヘルスの利用増加で彼らのビジネスに大きな影響があるかというと、、、?
どちらかというと医療機器側で、単なる機器だけでなくてテレヘルスのソリューション提供や既存の機器ーテレヘルスシステム間でのデータ連携を効率的にする必要があるといったところでしょうか?