槍玉に挙げられ始めたアメリカのPharmacy Benefit Managerと製薬会社会社のDirect To Consumerモデル
Pharmacy Benefit Manager略してPBMは、前のブログ記事でも書いたが、アメリカに特有の製薬会社と薬局の間でGPO(集中購買)の機能を持つ中間業者。
日本の公正取引委員会にあたるFTCが進めていたPBMの取引実態に関わる中間報告が7月に発表された。そこには、ある意味業界では有名な話でもあるが、なぜアメリカでは薬の価格が場所や人によって大きく違うのか、なぜある薬は保険償還がおりるのに類似薬やジェネリックは償還されないということが発生するのか、といったような医薬品の公正なアクセスを歪める原因となっている、リベートや契約上の慣行が詳らかにされている。
PBMはどの薬をどの保険プランにおいて保険償還の対象とするか(アメリカには医療保険が民間・公的含めて無数にある)を決める権利があり、サイエンティフィックな基準で決められていればいいもののブラックボックスな部分が多く、しかも類似薬があればあるほど製薬会社にリベートの額を競わせる(類似薬はDrug Basketというグループに含まれるので製薬会社的にはいかに独自のDrug Basketにはいるか、あるいは差別化するかが重要になる)。
またPBMはある特定の薬局グループ(CVSとか)や医療保険会社(United Health)が保有しているのでそのグループとそれ以外のグループでは償還金額が違ったりする。
ついにPBMを名指しで批判する公的なレポートが出始めたと思ったら、製薬会社の方でも動きがあり、患者にダイレクトに薬を渡すDirect To Consumerモデルが出てきた(といっても保険の対象外の患者がメイン?)。とはいえDTCモデルはそれはそれでオペレーションコストが高いと思うので、PBMにはらうリベートなどを考慮した時に、どっちが彼らにとってProfitabelなのかの判断はこれからか?
ちなみに業許可的には薬局業務が行えるように製薬会社自身がライセンスを申請してしているのだと推察(ちなみに各州ごとにとらなくてはいけないはず)。