アメリカに聞いて気が付いたよく使われている英単語・熟語④

久しぶりの英語トピック。仕事をしていて気が付いた面白い言葉たちです。

①Streamlineー効率的にする

The company streamlined its operations by removing whole layers of managementとか(From Google)。

②Snapshotーそのままスナップショット・ある特定の一面。

It gives a snapshot of the competitive landscapeとか?

 

③30,000-foot viewー大まかな内容・ざくっとした概要とか。ハイレベルともいう。

For the new comers, let’s start from the 30,000-foot viewとか

 

④My 2 cent

アメリカ人大好きな2セント。ウィキペディアまであります。意味的には「教訓」とか?とても慣用的な表現。

en.wikipedia.org

 

⑤Weigh inー「介入する」とか?

The dispute turned nastier when Steve weighed in.(From Google)。

⑥Allude ー「指摘する」が近い意味。

As she nicely alluded, this issue will have a broader impactとか。

 

⑦Unwindー「リラックスする」

The Grand Hotel is a superb place to unwind.(From Google)。

 

 

CMSのアデュヘルムに対する償還決定内容の意味するところ

4月の頭、CMSがアデュヘルムに対する償還の方針(正しく言うとNational Coverage Determination=全米レベルで償還対象とするか否かの決定)を決めました。

www.cms.gov

 

アデュヘルムというのはバイオジェン・エーザイが開発したかのアルツハイマー薬です。FDAの薬事審査がヒートアップしたのもいまや去年。

whatishealth.hatenablog.com

 

CMSの決定内容はアデュヘルムにとって重要です・・・というのもアルツハイマーを発症するのは主に65歳以上、そしてCMSの管轄するメディケアはまさに65歳以上向けの公的保険です。

 

決定内容は臨床試験を用いたCoverage with Evidence Development(CED)です。このCEDというのは、対象となる介入方法(薬剤・機器等)のアウトカムについて、追加で試験を実施・エビデンスを構築し、その結果によってカバレッジの内容を見直すという指針になります。

 

試験の方法も、①厳格な前向きの臨床試験と②メディケアの保険請求データベースを用いた後ろ向きの解析、の2種類があり、前者では臨床試験の参加者のみに保険償還を認めることになります。

 

つまりこの決定は、CMSとしてはFDA申請で使われたエビデンスでは償還のゴーサインは出せない、追加のエビデンスをつくれ!という内容でして、実質的にFDAの審査自体に対してNoを突き付けたことになりました。

 

さらに言えばアデュヘルムはFDAのAccelerated approval pathway(FDAサロゲートエンドポイントでのアウトカムを申請上認めるというプロセス)を経ていました。これはFDAがアンメットニーズの高い新薬・技術を促進するために作られたもので、2012年にはBreakthrough Therapy Designation (BTD)という新しいプログラムも作られていました。しかし今回のCMSの決定は、そういったFDAの特例的な審査基準に対して、CMSとしての償還決定基準とマッチしないということを意味しており、FDAの特例審査プログラムの意義を低下させる結果となったとも一部では考えられているようです。

 

日本だと薬事申請を通ればほぼ実質的に保険償還対象とはなりますが(価格はいったん置いておいて)、アメリカではそもそも償還対象にならない可能性もあり、FDAだけを見ていると手痛い失敗をするというケーススタディになっているようです。

 

 

 

 

アメリカではじめてInterviewerにまわった話

先週ついにはじめて今の会社でInterviewerに回る機会がありました。

どちらかというとこれまではインタビューされる側であることが多かったので、視点が変わるといろいろと気が付くこともあったのでメモ。

 

主なトピックはこちら。

①新卒or未経験候補者が見られているポイント@アメリカ。

②ResumeとSTARフォーマット。

 

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①新卒or未経験候補者が見られているポイント

自分のいるチームはコーポレートファンクションとしてUSを含めたグローバルの社内コンサル的(or Subject Matter Expert?)に動く面もあり、ファンクションとしての専門知識かつプロジェクトマネジメント・インプリメンテーションが必要とされるポジションでした。

 

インタビューにまでまわってきたのは今回3名。1名は社内公募できたセールスオペレーション周りの人(修士持ち)。もう一人は、ブティックコンサル出身(修士持ち)。最後の一人は医療専門職をパートタイムで数年続けており、5月にフルタイムの修士課程を卒業予定の人。この最後の一人はほぼ新卒・未経験に近い候補者でした。

 

ジョブ自体はややEarly career向けのIntermediateなポジションという事もあり、ボスからは「ポテンシャル採用あり」という話はあったものの、チーム全体で話し合った結果、最後の一人はやや厳しい評価に。もちろんスキルセットのギャップが大きかった、、、ということもありますが、一番の原因はあまりチームの中でのキャリア形成を考えるそぶりがなかったこと。やや長期のインベストメントとなる対象者としてはリターン微妙よね、、、という結論になりました。

 

このあたりの考え方は、ジョブ型採用では比較的どこにでも共通しそう。アメリカ(orジョブ型採用の会社)で就職したい新卒向けのTake Awayを考えると、①中期的にキャリアを積みたいと思える分野を見つけて、②その分野への専門性をつんだorつもうとしてることの証明をとり(修士とかあるいはなんかの資格とか、表彰とかのトラックレコード)、③熱意と中長期的なキャリアへの興味を合わせてアピール、といったとこでしょうか。

 

※念のための前提ですが、アメリカでは基本的には新卒採用はなく、新卒も経験者も同じ土俵であるジョブを奪い合うという状況です。。。とはいったものの実は新卒向けのローテーションプログラムが大企業にはあったり、コーディネーターみたいなペイが低くて実質的に新卒向けの仕事もあるというのが、こちらに来て感じた実情です。なので上の話は、そういった職以外で通じる話だと思います。

 

②Resumeはできる限り短く。インタビューではSTARフォーマットでネタはばらつかせて&ActionとResultを濃い目に。でもネットワークがそもそも重要。

MBAでは比較的しっかり指導を受けるのですが、それ以外の大学院だと案外指導されてないのかなと感じたのがこれらの点。

 

A.Resumeは基本的に1-2P(エグゼクティブ以外なら)。またResumeの時点でSTARのARを意識(Action + Result)して書くこと。これに沿ってないResumeは確かに読みにくく、インタビュー前からマイナスの印象でした。

 

B.STAR(Situation/Task/Action/Result)というのがアメリカのBehavioralインタビューでの基本フォーマットですが、どうしてもSituationとTaskで説明が長くなりがちなので聞かれた質問にどう自分の話のストーリーが関わるのかというポイントを押さえたらAとRを重視することが重要。S・Tが長いとこれまた聞いてて疲れてしまいマイナスの印象。自分も1-2年前のインタビューでこういうことやってたんだろうなと思い自戒を込めてポイントとして抑えておきたいと思います。

アメリカでの医療機器の保険償還ー①日本vsアメリカのハイレベル比較

日々の仕事の中で気が付いたことのメモです。

日本とアメリカの比較という観点からつらつらと書いていきたいと思います。

 

①保険者の数:Single Payer(日本) VS Multiple Payer(アメリカ)

まずは言わずもがなのPayerの数。アメリカは民間保険・公的保険あわせて900以上の会社・団体・組織が存在します。

collectivemedical.com

 

特に民間保険は個別にポリシー(どの医療サービス・機器を償還対象とするか)を設定するので、個別に保険償還のレベルが異なります(償還対象か否か、対象でも償還率はいくらか)。

 

アメリカの医療費が高いのは有名な話ですが、その一因となっているのがこの保険の複雑さです。ある保険では償還対象となっている医療機器Aが別の保険では償還対象となってないということはザラにあります。その上、同じ保険会社でも、保険プランによってCopaymentやCoinsuranceと呼ばれる自己負担金額(日本なら普通の大人は3割で一定)が大きく変わり、患者自己負担額が異なります。

 

②償還の単位:Therapy level reimbursement(アメリカはほとんどこちら) VS Device-level reimbursement(日本はデバイス単体=特材での償還もアメリカに比べると多め)

また償還の単位が、アメリカはほとんどがTherapy level(特定の治療に保険償還の単位が設定される)で行われ、機器単体での保険償還は少ないです。いわゆる日本でいう「技術料」で規定される機器がほとんどで、日本の特定保険材料(=特材)にあたるようなデバイス単体での償還はDurable Medical Equipment(通称DME)と呼ばれるような一部の機器のみでメインストリームではありません。

 

このアメリカでのTherapy levelでの保険償還単位となるのがCodingとよばれるコードで、外来治療・入院治療×病院種類などによって複雑化しています(別記事で紹介予定)。とにかくこのCodingが複雑すぎるため、病院で正しく保険償還のオペレーションを回してもらうための情報提供が必須となってきます(かつ理想的には、そのコードを使うと病院側のProfitもよくなるような経済性エビデンス提供)。

 

③保険償還対応組織の大きさ

以上のような複雑な環境にあるため、日本とアメリカのマーケットアクセス・保険償還チームの数を比べると、日本は会社全体で多くて10-20人ですが、アメリカだと事業部の数×5-10名=約50-100名になります(ざっくり)。

 

Field Reimbursementチームと呼ばれる医療機関・保険会社向けの交渉・コミュニケーション(経済性エビデンス等)を担当するフィールドチームがいるのが大きな違いです。そして彼らを支援するPayer MarketingやOperation Excellence・Reimbursement/Payer Strategy・HEORなどが加わってくるため、必然的に大きくなっていきます。

 

またメディケアやメディケイド等のポリシーは法律によって規定されており、議会での決定が彼らを束ねるCMSの方針を大きく左右するため、ガバメントアフェアーズとよばれる政府渉外対策機能も持つことが多いです。日本だとロビー活動による影響がアメリカほど大きくはないので、この機能はあまり持たないorあってもごく少人数or兼務というのが実情かと思います。

 

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新しいことに気が付き次第、随時アップデート予定。

ヘルスケア関連のニュースピックアップ⑤ーメディケアでのデジタルセラピューティクス(DTx)のカバレッジを行う根拠となる法律が成立

つい1週間ほど前にAccess To Prescription Digital Therapeutics Actが超党派の議員による活動を経て成立しました。

www.capito.senate.gov

 

ここでいうDigital Therapeuticsとは①FDAによって認可されており、②予防や治療・予後管理目的であり、③ソフトウェアがその機序となっている、ものということのようです。

 

この法律によってメディケアのPart B(外来診療)にDigital Therapeutics向けのカテゴリーをつくることになります。またOutpatient Prospective Payment System (OPPS) にも組み込まれることになるかと思いますが、Upfront paymentもしくはSubscriptionモデルのような様々な支払いモデルが考慮されるようです。

 

また開発企業は毎年売上や民間保険の保険償還額やリベート・ディスカウントを報告しなければならないということです。薬価と同様に、これらのデータに基づいて償還額を決定していくのかと思います。

 

アメリカでは民間保険ではデジタルセラピューティクスのフォーミュラリーが作られるほど浸透が進んできていますが、ついに公的保険であるメディケアでの保険償還が進むとなるというのは大きいと思います。ただし高齢者向けのメディケアで、実際にDTxが浸透するかどうかは、疾患領域はもちろんの事、デバイスユーザーインターフェースによる気はしますが。

 

またDTxというと治療アプリを想像しますが、上記の定義からは、既存の医療機器の中でソフトウェアが核となるものの扱いはやや不明です(持続血糖モニターいわゆるCGMなど)。診断用機器は明らかに除外されそうですが果たして。

 

 

アメリカで働く上で気にするべきことー9か月目の振り返りー

21年7月に働き始めてからいつの間にか9か月。このブログの更新も滞っていたことに気が付いたので、この9か月の学びを振り返り。

 

インターンと合わせるとアメリカでのフルタイムに近い働き方はちょうど1年。希望していたファンクションに職を得られたことは本当に幸運でした。一方で1年ほど過ごして見えてきたアメリカでの仕事の仕方について振り返り。個別に取り組んだ仕事での知識は別にまとめる予定です。

 

①根回しはとても大切

blog.goo.ne.jp

ここのブログの話にもある通り、根回し非常に大切でした。特に意思決定者のGoサインを得られないと他の人も動いてくれないので、意思決定者への根回しが非常に大切。

 

少し踏み込むと、ここでいう意思決定者というのはいわゆる役員・部長・課長とかで、日本と役職のレベル感が変わるわけではありません。ただ彼らは日本と比べて人事権を強く持つ=職員の生殺与奪権(雇用の)を持っているので、彼らのGoサインを取るか否かで、他の人の本気度も変わるのです。

 

そのためにもタッチポイントという名の日々のキャッチアップや・ネットワーキングがすごい重要。できる人だと、周りの人の家族の名前やプロファイル・ペットの名前まできちんとメモして、ミーティングの最初のSmall Talkにぶち込んできます。個人的にとても習っているところ。

 

②Job Descriptionが決まっているけど、それ以上の仕事をするのも出世するのには大切

インターンの時の人にも言われましたが、ヒラのままでいたければ9時―17時、偉くなりたければHard Workerであれという精神です。その辺は個人のチョイスと割り切れるのがアメリカのいいところかもしれません。

 

しかし偉くなりたければ、いろいろな仕事に首をつっこみ、上司や上司の上司へのExposureを増やすというのが重要。

 

③仕事の進め方は属人的なのに人の回転率が高い

ここが意外だったけれど、仕事はとても属人的。MBAを生み出して方法論の標準化はするくせに、とても属人的に仕事が進むので、詰めの甘い人の仕事は、横で見ているととてもハラハラします。

 

またさすがアメリカというか人の回転率は高く、辞める人は1-2年で辞めるのもザラです。上司がちゃんと仕事を管理していればいいのだけれど、そうでなかったときは放置された案件が火を噴きます笑

 

④専門性超重要

仕事が属人化しやすいので「お前何できるの?」という問いに対する答えは超重要。それに答えるためのツールが学歴・職歴です。「アメリカは学歴社会」という表現は個人的には不正確だと思っていて、正しくは「アメリカでは学歴・職歴であっても、そこで習得したスキルや経験が等しく評価される」だと思います。

 

⑤Influencing others without authorityが超重要

①のポイントの延長線上にある話ですが、いかに人をうまく乗せられるか、って超重要。そして多様過ぎる社会なので日本より難しいかも。個人的には不得意なので、意識して伸ばさなければいけない点。単にコミュニケーション能力というとそれまでだが、ロジカルな主張もさることながら・他者のフォローアップ・チームのみならず個人にとってのビジョンや性格・利益にそった提案の提示・またそういった主張・フォローアップ等がスマートに行える度胸や経験など、ヒトとしての総合力が試されている気がします。

 

 

閑話休題

ちなみに、アメリカの近況でいうと、ロシアのウクライナ侵攻でガソリン価格が近所のGSでガロン4.8ドルが5.6ドルに急上昇(ロス郊外)。ロス市内はもっとすごそう。頼みの綱のコストコは、侵攻のニュースがあった翌朝にいったときはガロン4.2ドルだったけど果たして今は、、、。

ヘルスケア関連のニュースピックアップ④(フィリップモリス社の医療機器CDMO買収に対する倫理的批判 from DeviceTalks Weekly)

アメリカのMedtech関連Pod castでおすすめしたのがDeviceTalks (Weekly)。

www.devicetalks.com

 

Tom SalemiというイケボのおじさんとChris Newmarkerというハイテンション気味なおっちゃんが繰り広げるMedtech業界にフォーカスしたポッドキャストです 。

おおよそ50分程度で、1週間の主なニュースをランキング形式で紹介したり、旬な(製品ローンチ的な意味で)大企業の幹部やスタートアップのCEOのインタビューをしたりと、業界の最新トピックを聞き流すのに最適です。

 

その中で先々週?くらいにとりあげられていたのが、タバコ大手のフィリップモリス社による医療機器のCDMO(Vecterau)買収に関する話題。CDMOというのはいわゆる開発製造受託会社(Contract Development and Manufacturing Company)です。

www.medicaldevice-network.com

 

問題になっているのは、このCDMOが吸入器を作っているという事。肺疾患をタバコでつくりだして、今度はその患者から金をとるのかという批判です。

この記事でもAmerican Lung Association president や American Thoracic Society といった関連学会からの強い批判が紹介されていますし、Podcastでも小児科医(フィラデルフィアウィスコンシンだったかな?)が登場して、Conflict of Interestと絡めて強く批判をしていました。そんな会社のInhaler(吸入器)を処方することなどできないと。

 

単純にこのM&Aの行き先とそのビジネス的な影響(M&AのDD時にどこまで倫理的な要素が影響を与えるか)というところ。また日本人としては、JTの医薬事業にも影響でるのかな、、、とか考えましたが、既存ポートフォリオと開発品目見たところ直接的に喫煙と関係があるものはなさそうなので、特に影響はないのかもしれません。