テレヘルスへの追い風:アメリカと日本の使用状況比較
数週間前、ヘルスケアを専攻しているMBAの学生を騒がせたニュースがありました。それがこちら。
テレヘルスサービスのプロバイダーであるTeladocがリモートでの患者モニタリングサービスのプロバイダーであるLivongoを185億ドルで買収するというニュースです。
ビックリした理由はおそらく次の2つです。
・各々の分野(Telehealth / Remote patient monitoring)でトッププレイヤー同士の統合であること
・2020年初頭には両社合わせて85億ドルだった市場価値が、コロナウィルスを経て急激に上昇していたこと。統合後は約370億ドルです。ちなみに日本の製薬でいうとタケダで600億、第一三共が580億、アステラス300億、エーザイで250億なのでなんと日本の製薬企業でいうと第3位クラスのマーケットキャップに(米国時間8月26日夜時点)。
コロナはデジタルヘルス企業にとって追い風になっているようです。せっかくなので日本とのマーケットのポテンシャル比較ということで、直近の使用状況を比較できないか試みてみました。といっても完璧にApple to Appleなサーベイはないのでご容赦を。
〇サマリー
・日本は全体の使用率はおそらく10%以下(全受診におけるテレヘルスの割合)。
・一方で米国は、高齢者が主体であるメディケア受給者の間で、全国平均は約30%前後、大都市だとさらに高く40%越え。
・メディケアということを考えると、若者は高齢者より使用率が高い可能性があるので、上記の数字以上と考えられるのでは。もちろん若者だと加入している保険のポリシーによる違いも出てきそうですが
・日本と米国での使用率の差の理由は、2つある気がしています。
①テレヘルスの使用要件の差:メディケアはコロナ後に使用要件を大幅に緩和したようです(コロナ前:田舎のみ、コロナ後:都市部も可、等)。保険償還の対象となる疾患や要件等の細かい比較はしていませんので、あくまで仮説レベルですが。
②文化的な差:こちらも想像でしかないのですが、もともと土地も広く、テレカンファレンスも多用しているような土地柄なので、オンラインコミュニケーションにそこまで抵抗はない気がします。日本だとなんとなくですが、医療みたいな重要事は対面でやりたい、、、という人も多いのでは。
・なお、メディケアでは、日本でいう初診・再診等を含めて、対面での術式を必要としない場合(通常のコンサルテーションレベルであれば)は、基本的にテレヘルスを利用できそうです。
〇日本
たまたま目にしたこちらのサーベイから。
おおよそ使用率は5%前後。複数回答なので何とも言えないが、すべての項目を合算しても10%以下なので、全体の使用率も10%以下と言えそう。
日本のテレヘルスの使用要件の概説についてはこの記事がわかりやすかったです。
〇アメリカ
メディケア受給者が対象とした調査。調査元はASPEという国の機関(保健省の傘下)。
見にくい表ですが、まずプライマリーケアビジットが500万から300万前後に落ち込んだうえ、テレヘルスの使用数が百万前後まで上がっています。これだけで見ると約30%というところ。
大都市圏では約40%と高い水準にあります。ボストンは一部で70%とのこと。