記録がてらですが、COV-19でアメリカでは刻刻と状況が変わっていて最早日本を追い越しています。うちの学校に限らずほぼ全米のビジネススクールは早々と授業をオンラインに移行したようです。
うちの学校はZoomを使っているのですが、なかなか使いやすいです。「挙手」の機能とかBreak up sessionの機能とかあるので普段の授業と大きくは変わらないのはやりやすいところ。
どちらかというとExperiential系の授業がオンラインに移行したのが痛い、、、Working from homeが一般的になってきたとはいえ、グループでのコンサルティングPJをリモートでやるのにはすごい違和感があって打開策も何もないので、若干Demotivateされつつあります(ホントはよくないけど)。
さてさて、今日のお題はRetail clinicsです。最近アメリカでは医療産業の垂直統合が盛んになってきており、このRetail clinicsもその一つと言えます。
簡単に言うとRetail clinicsとはその名の通り、いわゆるスーパーマーケットやドラッグストアに診療所が併設され、簡単な診療を低価格で提供するというコンセプトです。
常勤でいるのはNPやPAといったようないわゆるコメディカルの人たちということが多いです。
有名どころはこちら。
②CVS Health
③Walgreens
【ヘルスケア全体から見たポイント】
・コスト削減
アメリカでは日本と違い医療サービス・薬の価格が場所によってまちまちの中、これらの企業ではスケールメリットを生かして、低価格で一定の品質のサービスを提供することでプライマリーケアの効率化に貢献しようとしています。
ただRAND研究所のレポートによると、むしろ需要(費用)増の方向に動いているようなので、このポイントは注意が必要です。もちろん費用が増えても結果的にアウトカムがより向上していれば、効率面からはサポートされうるとは思います。
https://www.rand.org/pubs/external_publications/EP66379.html
・地理的なアクセスの向上
国土がとても広いアメリカでは必ずしもすぐ近くに病院・診療所があるわけではありません。でもこれらのBig Boxのインフラネットワークを使えば、アクセスは向上します。
ただアクセスが向上したとして、その後のReferralのネットワークがうまくいっているのかはよくわかりません。プライマリーからセカンダリーケアへと効率的に繋げられていたら意義はより大きくなると思います。
【ビジネス的な観点】
・横断的なシナジー
Walmartの担当者と話す機会があったのですが、彼らは特にクロスセグメントでのシナジーを見ているようです。もともとは従業員向けのサービスとして始まっていましたが、一般消費者向けにも徐々に展開しています。Walmartが持つ薬局での処方増やOTC薬・栄養サプリ・フィットネス・スポーツ器具といったセグメントでのシナジーを期待しているようです。
一方で昨年9月には専門のヘルスセンターも開設しているので、片手間というよりもヘルスケア事業自体に本格的に乗り出すつもりのようです。
Retail clinicsの事業者は保険者との統合を近年画策しています。
たしかにフラグメントなアメリカのヘルスケアで垂直に統合し、データシェアリングやスケールメリットを活かした効率性の向上が期待されています。
CVS-Aetna
Walmart-Humana(未実施、、、でもたぶんまだ検討中。ちなみにウォルマートのヘルスケア事業のトップはHumana出身です笑)
日本は公的保険かつそもそもアクセスがよいし価格も透明なのであまりこのような動きをする必要性は薄いかもしれません。あとそもそも日本のリテールは店舗の規模が小さいし。郊外とかではイオンモールみたいなところに集中出店させる話はありますが、上みたいな統合まではいかない(行くメリットがあまり見当たらない)という気がします。
こんなプレーヤーもいるのがアメリカのヘルスケアの面白いところ。