いまアメリカでは精肉工場(タイソンとか)がシャットダウンされてて、特に豚肉の供給が滞ってます。この前コストコにいったら、1人当たり3アイテムまでしか買えない上にほとんど牛肉しかありませんでした。そのせいで冷凍庫にはめずらしく牛肉の切り身がいっぱい冷凍されてます。日本では牛肉を食べるなんて(高すぎて)考えられなかったのに、背に腹は代えられぬ。
関連していうとBeyond Meatの株価があがってるみたいですね。
結構高くて手が出ないんだけど、この機会に切り替える人も出ているようで。風が吹けば桶屋が儲かるてきな。コロナの後、顧客をリテンションできるのだろうか?味は問題ないと聞くので、この機会に値段を下げられるほどの需要を作り出せるかがポイントかしら?
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それはともかく、今日はレムデシビルについてメモ。
日米欧が競って承認までもっていっているようで。
そこで今論点になりつつあるのが、①価格②供給③安全性の3点かと。
①価格
アメリカでNICE替わりのICERが4460ドルという医療経済性分析の結果をはじき出したようです。レポートをざっくり見ただけですが、ギリアドとNIAIDのスタディを用いたCEAでの結果見たいです。
ちなみに加えてCost recoveryモデルというのが書かれていて、そちらは10ドルとなっていました。ギリアドがもう1ユニットのレムデシビルをつくるのに必要なコストというアプローチのようです。いわゆる過去のR&Dコストとかは含まれていません。理由が面白くて、もともとはC型肝炎のために開発されていたが他の薬がより有望だったのでお蔵入りしかけていた薬であるので(のちにエボラ・マールブルグ熱向けの開発に変更)、開発費はすでに成功した別の薬で回収済みだから考えなくていいよねっとバッサリ。でも臨床試験は個別の病気ごとにやるんだから、そこは含めてあげてもよいような。。。
②供給面
ギリアドは5月中に14万回分(10日投与計算)の生産を予定していて、今年中に約100万回分の生産を予定しています。しかし下のデータにもあるように1日に約2-3万人が新規感染しているアメリカでは、回復する人を差し引いても(約15日で自然回復)、2~3万人×15日の30~45万人は常時感染していると考えると、アメリカの需要すらまだ賄えていません(オペレーション的にはもうちょっとちゃんとした計算するべきですが、いったん単純化、後で訂正するかも)。
とすると海外に供給できるのか、供給されたとしても何回分になるのかは、かなり微妙な数字になりそうです。もっともこの記事みたいに他社にライセンス生産してもらうというのは一つの解決策かもしれません。
③安全面
日本のアビガンも催奇性が言われていますが、レムデシビルも副作用からは逃れられないはずです。もちろんスピード承認した背景にはそのリスクを上回るベネフィットが見込まれるからというのはわかっているので、医療現場・患者とのコミュニケーションがより問われている気がします。
専門家ではないのであまり踏み込みませんが中国の臨床試験では有意な結果がでていません。
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)31022-9/fulltext
NIAIDの結果も回復日数が早くなり統計的な有意差として出ていますが、生存率は低下したものの統計的有意差としては出ていません。
こういった危機管理下で100%の正解というのはないと思いますが、その場合こそ丁寧なコミュニケーションが必要になる気がします。